正常ヒト血清チログロブリンの物理化学的性状と抗原構造
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概要
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血清チログロブリン(Tg)の物理化学的性状と抗原構造を明らかにする目的で,健康人プール血漿より,イオン交換クロマトグラフィー,レクチン親和性クロマトグラフィー,ゲル濾過を順次行い,血清Tgを部分精製した。得られた血清Tg標品を再度,イオン交換クロマトグラフィー,およびゲル濾過を用いて分析したところ,血清Tgの物理化学的性状について,次のような結果が得られた。すなわち,血清Tgの分子量は,甲状腺組織由来の19S Tgと一致する660kdと推定された。また,血清Tgのヨウ素含量は,不均一で,少なくとも低ヨウ素含量と高ヨウ素含量の2つの分画が存在した。これらの結果から,血清Tgの物理化学的性状は,組織Tgと類似していると考えられた。しかし,一方,自己抗体との結合能をELISAで検討したところ,自己抗体の血清Tgに対する結合能は,組織Tgに対する結合能に比べ,著しく低かった。さらに,ウエスタンブロット法による検討でも,ヘテロの抗体は,660kd領域の蛋白質と結合して,バンドを形成したが,自己抗体は全くバンドを形成しなかった。これらのことから,自己抗体は,血清Tgよりも組織Tgに親和性が高いと考えられた。すなわち,物理化学的性状においては,血清Tgと組織Tgの間にきわだった差が認められなかったが,血清Tgと組織Tgの抗原構造には,違いがあることが強く示唆された。
- 千葉大学の論文
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