ウサギ骨髄造血系に及ぼす鉛の影響
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概要
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本実験では,ウサギ赤血球を幼若赤血球から老化赤血球へ比重分画法により9分画して求めた試料と全血試料について,経静脈投与による鉛のヘム代謝系への影響をALAD活性阻害率の増加とEP濃度の増加を評価指標として検討し,以下の結果を得た。1)対照ウサギのEP濃度は,幼若・老化赤血球共に同値であった。Pb-Bが20μg/5×10^<10>RBC以上のレベルで幼若赤血球のEP濃度は増加を示した。2) Pb-B (X)とALAD活性阻害率(Y)の相関関係はPb-B 30μg/5×10^<10>RBC,活性阻害率80%まではよく相関し,回帰式Y=2.24X+16, r=+0.95が求められた。3) 2週(6回静注法)にわたる鉛投与後のEP濃度は,幼若赤血球画分で最高値を示したが老化赤血球画分でも増加していた。対照群の老化赤血球画分には認められなかった網赤血球が老化赤血球画分に認められることから考えて,これが老化赤血球画分のEP値の増加と関連のあることがうかがえた。また,この老化赤血球画分中に認められた網赤血球は,鉛投与によって高比重の網赤血球が産出されたことを示唆した。4)更に,全血試料中のEP濃度は,鉛投与後に最高値を示したが以後減少し,変化量は鉛の投与量によって異なるものの,鉛投与終了後4週間に25〜45%減少していた。これらのことは,従来の全血試料を用いた研究では把握することができなかった鉛暴露初期からのヘム代謝系への影響を鋭敏に把握しえたことを示唆している。
- 千葉大学の論文
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