新生児マススクリーニングで発見された先天性甲状腺機能低下症のL-T_4治療の管理指標に関する検討
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概要
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マススクリーニングで発見された先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)患児を対象として,高感度測定法による血清TSH値(TSH-IRMA)の検討,L-T_1治療開始後の血清TSH値正常化までの期間の検討,TSH-IRMAと各種血中甲状腺ホルモン値との比較検討を行った。1)正常小児54名,未治療バセドウ病患児13名,治療中クレチン症29名の検討より,TSH-IRMAと従来のRIA法によるTSH値(TSH-RIA)はよく相関しTSH-IRMAは基礎値からも甲状腺機能正常と機能亢進状態を明確に区別できた。2)治療中クレチン症22名43回のTRH試験による検討で,TSH-IRMA基礎値はTRH負荷後のTSHの反応を予測可能だった。3)各クレチン症例の検討で,TSH-IRMAはL-T_4投与量をTSH-RIAより的確に把握できた。4)L-T_4治療を10μg/kg/日で開始したクレチン症例15例の検討で,TSHの分泌過剰状態は比較的速やかに回復した。5)正常な成長発育および知能発達を遂げている治療中クレチン症25名における100検体の検討で,対照に比べ血清T_4値は高く血清T_3値は差がなかった。TSH-IRMAと各甲状腺ホルモン値を比較すると,TSH-IRMA感度以下群ではTSH-IRMA正常ないし高値群と比較し,血清T_4,T_3が高値でL-T_4治療量も多かった。以上より,マススクリーニングで発見されたクレチン症におけるL-T_4治療の管理指標として,治療開始後比較的早期より血清T_4特にFT_4とTSH-IRMAが適していた。また,血清T_4を正常上限ないしやや高値に,TSH-IRMAを測定感度以下にならないようにL-T_4投与量を調節するのがよいことが示唆された。
- 千葉大学の論文
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