胎盤特異蛋白PP_<5,10>の正常妊娠時血中動態と卵巣嚢胸腺癌に於ける免疫組織学的並びに血清学的検索に関する研究

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胎盤特異蛋白PP_<5,10,11>の高感度RIAを用い,正常非妊婦,正常妊婦,卵巣腫瘍患者における血中値を測定すると共に,酵素抗体(PAP)法によるこれら3種の胎盤蛋白の卵巣嚢胞腺癌における免疫組織学的検出率と患者の臨床所見,予後との関連についても検討を加え,以下の結果を得た。1)正常非妊婦におけるPP_<5,10,11>の血中値は各々1.0ng/ml,8.7μU/l,0.1ng/ml以下であった。2)正常妊婦におけるPP_<5,10,11>の血中値は妊娠経過と共に漸増し,妊振35週から38週にかけて平均41.5ng/ml(PP_5),4.03mU/1(PP_<10>),1.97ng/ml(PP_<11>)に達した。3)子宮筋腫,卵巣良性腫瘍患者におけるPP_<5,10,11>の血中値は各々1.0ng/ml,10.2μU/l,0.1ng/ml以下であった。4)卵巣嚢胞腺癌におけるPP_<5,11>の治療前血中値は各々0-11.2ng/ml,0-1.0ng/mlと低値であった。一方PP_<10>の治療前血中値は漿液性嚢胞腺癌では4.4-114.0μU/l,ムチン性嚢胞腺癌では9.0-19.2μU/lと高値を示した。更に16例中11例(69%)の患者において10.0μU/l以上の治療前血中PP_<10>値が認められた。5)漿液性卵巣嚢胞腺癌32例,ムチン性卵巣嚢胞腺癌22例においてこれら3種の胎盤特異蛋白の免疫組織学的検索を行った。漿液性嚢胞腺癌では症例の53,28,38%に各々PP_<5,10,11>の異所的産生が認められ,ムチン性嚢胞腺癌では55%(PP_5),23%(PP_<10>),50%(PP_<11>の検出率であった。免疫組織学的陽性所見は主として癌細胞細胞質に認められた。6)これらの3種の胎盤特異蛋白の卵巣嚢胞腺癌における局在率と患者の臨床進行期との間に正の相関は認められず,また,患者の生存年数とも相関しなかった。本研究は新しい胎盤特異蛋白PP_<5,10,11>の婦人における正常値,妊娠時における血中動態を明らかにすると共に,卵巣嚢胞腺癌における腫瘍マーカーとしての臨床応用の可能性について検討した。
千葉大学の論文

胎盤特異蛋白PP_<5,10>の正常妊娠時血中動態と卵巣嚢胸腺癌に於ける免疫組織学的並びに血清学的検索に関する研究

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