洞機能不全症候群における運動負荷試験の有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
洞機能不全症侯群(SSS)に対する運動負荷試験の診断的有用性について検討した。健常281例(男226例,女55例)および不整脈37例(SSS 26例,他疾患11例)を対象とし,トレッドミルを用いた多段階運動負荷試験をBruceのプロトコールに従って行なった。さらに,患者群では24時間心電図記録中の最大PP間隔,高頻度心房電気刺激後の最大AA間隔などを求め,運動負荷時心拍数増加反応と比較した。その結果,患者群の運動負荷時心拍数増加を,年齢および運動可能なBruceのstageが等しい健常群と比較すると,他疾患群は健常群と同等の増加を示した。SSS群は運動負荷中全例が洞調律になり,その心拍数増加反応により以下の3型に分類できた。すなわち,負荷中の各stageとも健常群と同等なもの(type I),負荷当初は健常群より少ない心拍数を示すが,最終stageまでに健常群と同等になるもの(type II),および最終stageでも健常群の平均域に達しないもの(type III)である。このうちtype Iはペースメーカー適応例はなく全例が軽症と考えられた。Type IIは半数が軽症,半数がペースメーカー適応例であった。一方,type IIIは最大PP間隔,最大AA間隔とも長く,全例がペースメーカー適応となる重症例と考えられた。以上より,本法はSSSの重症度判定法として簡便かつ有用な方法であることが明らかになった。さらに,運動負荷試験によりSSS患者を洞調律化できることは,合併する房室伝導障害の診断に有用であり,また薬剤使用前後の心拍数増加反応の比較により薬剤効果の検討も可能であった。
- 1984-04-01
著者
関連論文
- ペースメーカー植え込み例における抗血小板薬の脳梗塞発症予防効果
- 32)ベラパミールが有効であった心室頻拍の1例 : 日本循環器学会第115回関東甲信越地方会
- 25.心筋梗塞症に合併する心室瘤のCT診断について : とくに心電図,左室造影と対比して(第676回千葉医学会例会・第5回千葉大学第三内科懇話会)
- 1.虚血性心疾患の左室駆出分画について(第676回千葉医学会例会・第5回千葉大学第三内科懇話会)
- 25. 著明な心タンポナーデを呈した心臓原性中皮腫の1例(第987回千葉医学会例会・第21回千葉大学第三内科懇話会)
- Addison病を合併した抗リン脂質抗体症候群の1例
- 2.心筋梗塞急性期における肺動脈圧・心拍出量の診断的意義について(第676回千葉医学会例会・第5回千葉大学第三内科懇話会)
- 11.不整脈への心腔内心電図の応用(第697回千葉医学会例会・第6回千葉大学第三内科懇話会)
- 5. 長期に持続した頻拍心室の1例(第949回千葉医学会例会・第19回千葉大学第三内科懇話会)
- 29.Mexiletine, LidocaineおよびDisopyramideの血行動態に及ぼす影響(第676回千葉医学会例会・第5回千葉大学第三内科懇話会)
- 23.千葉県救急医療センターに於けるペースメーカー植込み経験(第676回千葉医学会例会・第5回千葉大学第三内科懇話会)
- 洞機能不全症候群における運動負荷試験の有用性