ウシ副腎皮質のアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝産物のステロイド合成調節機構における役割
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概要
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近年,内因性生理活性物質として注目されているアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝産物のウシ副腎皮質束状層細胞での役割について検討を行った。ウシ副腎皮質束状層細胞とアラキドン酸を反応させ,アラキドン酸代謝産物を液体高速クロマトグラフィー(HPLC)で分離精製し,ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)を行ったところ,5-,および15-hydroxyeicosatetraenoic acid, leukotriene B4,11,14,15-trihydroxyeicosatrienoic acidがアラキドン酸より生成されることから,ウシ副腎皮質束状層細胞に5-,および15-リポキシゲナーゼ代謝経路の存在することが判明した。つぎにこれらのリポキシゲナーゼ代謝産物がステロイド産生にどの様に関与するかについて,リポキシゲナーゼ阻害剤であるnordihydroguaiaretic acid(NDGA)とTZI-41127を用いてACTH刺激下でのステロイド産生を検討した。これら阻害剤は直接マイクロゾームの21-ハイドロキシラーゼ活性に影響を与えないが,遊離細胞系で21-ハイドロキシラーゼが関与する17α-ハイドロキシプロゲステロンから11-デオキシコルチゾールへの変換を抑制することから,アラキドン酸のリポキシゲナーゼ代謝産物が21-ハイドロキシラーゼ活性の新たな調節因子として作用する可能性が考えられ,副腎皮質ステロイド産生機構でのアラキドン酸代謝産物の関与をはじめて明らかにした。
- 千葉大学の論文
- 1992-08-01
著者
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