P50 有機ベントナイト等を利用した沈殿物キヤッピング材の開発
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
海洋(河川)中の土壌汚染についての法規制は未だ十分に整備はされておらず、例えば「浚渫土のダイオキシン濃度が1,000ppm以下であればその汚染土を陸上埋立する、もしくは浚渫土を海洋投棄する」のようにその汚染エリアの汚染度により個別に処理方法が決められている。一方で、それら汚染土壌を処理するための施設や埋立処分場などの建設を計画しても一般には迷惑施設と捉えられることが多く、設置自体が非常に困難な現状がある。一般にそれら汚染沈殿物の処理は浚渫により除去され、発生した汚染土を処理・処分しているが、この方法には多大なエネルギーとコストがかかっている。また浚渫が水中の作業となることから作業中に汚染土壌が懸濁・拡散することで汚染沈殿物の完全な除去は難しいとも言える。そこで本発表では、上記のような問題を考慮した上でこれら沈殿物の周辺環境への影響をなくすための"現位置キャッピングによる封じ込め"について紹介する。このキャッピング材に砂などを用いる場合、汚染拡散を防止するために数十cmの厚さが必要となるが、有機ベントナイトや活性炭、ゼオライトなどの機能性物質を用いることで封じ込めに必要な厚さを小さくすることができる(図1参照)。この機能性物質を用いたキャッピングの設置方法としてクラムシェルパケットやトレミーパイプを通したポンプ圧送による投入があるが、それとは別に予めこれら機能性物質を不織布などの繊維中に充填してマット状に加工し、沈殿物上に敷設する方法がある。このマットを"Reactive Core Mat(RCM)"と呼ぶ。RCMの施工方法としては、そのロールを船上クレーンなどを用いて沈殿物上に広げ、敷詰めていくだけである。敷設後はマットの押さえと保護を兼ねた砂層を厚さ15cmで設置して施工完了となる。RCMを利用した工法の利点を以下に示す。・機能性または吸着性物質を均一且つ量を制御して設置できる。・汚染状況に合わせて複数の機能性物質を混合して使うことができる。・マットに使用された繊維により沈殿物と表層の覆土・砂を完全に分離することができる。・マット繊維が植物の根の貫入を妨害し、汚染の拡散を防ぐ。・マットの強度によりある程度の不同沈下や発生ガスなどによる持ち上げに抵抗力を持つ。・斜面ではマットの強度が安定性を与える。RCMの構造やその効果、施工状況を以下に示す。
- 2006-09-07
著者
-
志々目 正高
日商岩井ベントナイト
-
志々目 正高
(株)ボルタレイ・ジャパン
-
志々目 正高
(株)ボルクレイ・ジャパン環境・建設資材部
-
加藤 啓樹
(株)ボルクレイ・ジャパン
-
加藤 啓樹
(株)ボルタレイ・ジャパン
関連論文
- P50 有機ベントナイト等を利用した沈殿物キヤッピング材の開発
- P19 ベントナイト原鉱石の堆積構造と透水性の関係
- P14 米国産ボルクレイベントナイトの原鉱石の締固め密度と物性の関係
- 最近のベントナイトの生産量と利用状況
- 難燃材料としての可能性を持つ「有機モンモリロナイト」
- P50.有機ベントナイト等を利用した沈殿物キャッピング材の開発(ポスターセッション,第50回粘土科学討論会発表論文抄録)
- ベントナイトのナノコンポジットへの応用
- 自己修復性しゃ水工 (S & H システム) の提案
- P42 ベントナイトのナノコンポジットへの応用
- A8 自己修復性しゃ水工(S&Hシステム)の提案
- ベントナイトを利用した新しい防水剤
- P29 ベントナイトを利用した新しい防水材
- ベントナイトとその応用
- WANTS-NEEDS-SEEDS モンモリロナイト・ナノコンポジット材料の新しい用途
- 循環型共生社会と最終処分場(第3回)地域に信頼される安全・安心の最終処分場(多重安全型処分場)
- 漏れ部自己修復型封止しゃ水工の新構造(2)