台湾の対外経済関係に関する考察 : 規制下の台・中間の経済相互依存と規制緩和
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概要
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台・中経済関係は,殊に「政冷経熱」情況が10年近くに及んでおり,地域的な安全保障システムの欠如の中での対外依存型の成長という東アジアが内包する問題を考察するカギをなしている。また,かつて,外資依存型輸出志向工業化は,ほとんど「自由貿易」と同義に扱われてきたが,その後の台湾を含む東アジアの発展は,市場志向的発展と同義に扱われてきた。このため,台湾の対外経済規制とその緩和の過程に十分の注意が払われてきていない。だが,規制を含む対外経済関係の発展と規制緩和の過程こそがこの10年にわたる市場志向的な台湾経済を特徴付けているとも言える。しかも,そうした規制とその緩和の主な対象は中国であり,両岸関係の特質を理解するのに,規制下での相互依存の展開と規制緩和の性格を理解することは,両岸関係における「政冷経熱」の構造理解に不可欠である。 本稿は,台湾行政院大陸委員会が公表する台湾政府の対中経済政策の発言・内容・計画・報告,対中投資・貿易などの経済政策に関わる法律・弁法及び原則をデータの中心に,また,台湾国内政界・民間・学界などの意見・研究をまとめたうえ,規制下の台・中間の経済相互依存と規制緩和を考察したものである。
- 北海道大学の論文
- 2007-03-08