自由な私的土地所有の成立 : 封建的経済構造から資本制的経済構造への移行
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿はこれに先行する私的所有論の続編をなし,所有論の体系的展開の一環を構成するものである。本源的所有の二次的,三次的構成において,共同体的土地所有と共同体から分離・排除された諸個人が作り出す用具の所有との分裂が土地所有解体の歴史的出発点をなす。土地所有は商品交換を土台とする私的所有に対立的に展開する。近代的土地所有は貨幣関係を基礎とした契約関係という法的関係(=承認関係)に規定された人格的関係において成立する。土地所有の史的成立はこうした人格的関係の成立の解明であり,それは封建的取得構造からブルジョア的取得構造への大転換に媒介されている。その転換は農業資本主義の成立として現れた。本稿は封建的経済構造に支えられた封建的土地所有の史的展開を解明した上で,その土地所有の解体の機序をなすのが労働地代から貨幣地代への移行とそれに伴う領主直営地における賃労働の発生である。それが領主直営地における借地化と領主的囲込みを発展させた。この過程における領主と農奴との関係としての封建的承認関係の解体は農奴の借地農への発展と農業資本主義を事実的に成立させていった。
- 2007-03-08
著者
関連論文
- 自由な私的土地所有の成立 : 封建的経済構造から資本制的経済構造への移行
- 所有論の基本的視座 : 所有とは領有(=取得)の過程における社会的関係である (経済学部50周年記念号)
- 私的所有権の存立構造
- 市場的社会関係と合理化過程 (佐藤茂行教授 退官記念号 II)
- 実践の哲学 : 現象学的マルクス主義への序