関係性に応じた情動表出 : 児童期における発達的変化
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概要
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本研究は子どもが他者との関係性に応じて,どのように情動を表出するようになるのか,児童期中期に焦点をあててその発達的変化を検討した。被験者は小学校2年生から5年生,計1466名である。各人に,物語中の主人公が怒りや喜び,悲しみを経験する物語を読ませた。そして母親,父親,友達に対して,もしその子が自分だったらどの程度情動を表出するか,答えさせた。また関係性の指標として,他者と共にいる時の自己,ソーシャルサポートを取り上げ,それぞれ子どもに評定させた。その結果,低学年(2・3年生)と高学年(4・5年生)とでは,他者との関係性と情動表出との関連は,異なることが示唆された。また各情動ごとに,関係性と情動表出との関連は,異なる変化を示した。喜び表出は,低学年で肯定的関係性と相関がみられ,高学年ではその関連がより強くなった。また怒り表出は,高学年では関係性との間にほとんど関連はみられなかった。この結果は,情動の発達における対人関係の役割を重視すること,及び各情動ごとに,個別に検討する必要があることを示唆している。
- 日本教育心理学会の論文
- 1999-09-30
著者
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