貯蓄、投資の制度部門別構成 : 国際比較
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概要
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日本の巨大な貯蓄を何に、どのように使うか、それをどのように決定するかは、日本の今日的国民的課題であり、且つ世界的にも大きな問題である。本稿はこの問題を考えるときの一つの準備として、日本の貯蓄、投資(実物資本の蓄積)等の制度部門(家計、企業、政府)別構成を他の主要な国と比較する。データは利用しやすいもの、比較の方法はごく初歩的なものである。他の主要な国と比較する変数としては、国民貯蓄、及びそれに対する各制度部門の寄与の他に、貯蓄された資金の使途として総投資、それらの相対的大きさ即ち、総投資-総貯蓄(いわゆる資金過不足)、最後に総固定資本減耗を対象とする。それらについて国民経済全体での経済規模に相対的な大きさ、及びそれに対する各制度部門の寄与を主要国と比較する。したがって多くの条件が付く強い制約の下での単純な比較ではあるが、結論として日本経済の異常さは世界的に際立っていると推察するに十分である。日本は第二次世界戦争以降(明治以降もそうであるが)、傾向的には他に例のないような強貯蓄と強蓄積の循環、すなわち資本主義の急速な発展を実現したが、反面ではそれ自身がもたらした問題によって、それまでの形態での発展は不可能となり激しい変化が起こった。今後の発展形態については、その主役企業部門は今尚戸惑っているようにみえる。
- 関西大学の論文
- 2006-06-15
著者
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