言語確認行動を頻発し,指示待ち行動を示した青年期自閉症者における自我の発達:自他関係の構造に注目して〈特集:自閉症の社会性障害〉
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概要
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自閉症における自我の発達を明らかにすることを目的として、青年期・成人期自閉症者にみられやすい指示待ち行動を取り上げ、事例検討を行った。対象者は、20代の青年で他者からの指示を求めることにこだわり、自発的に行動を起こせない状態を示していた。19ヵ月間にわたり、計20回の参加観察を行った。その結果、健常児とは異なる特異的な自他関係の構造が指示待ちの発生に影響を及ぼしていることが明らかになった。具体的には、他者理解に比して、要求・拒否行動がでにくいため、「指示を出す-指示される」という関係が固定化してしまい、それ以外のコミュニケーションがみられにくい状況にあった。これらの結果から、支援のあり方として、これまでとは異なる質の自他のコミュニケーション活動を用意することの必要性が示唆された。
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