足尾山地南西部栃木県葛生町北部の外来性石灰岩から産する三畳紀コノドント

概要

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足尾山地南西部栃木県葛生町北部の外来性石灰岩から産する三畳紀コノドント栃木県葛生町北部秋山川上流域には,三畳紀-ジュラ紀のチャート-砕屑岩シーケンス起源のオリストスロームが分布する。深堀,上の山に露出する外来性ブロックの一つである石灰岩からは,ラディニアン後期-カーニアンのNeogondolellaやGladigondo-lella類に属するコノドントを産するが,それらの出現はヨーロッパにおけるそれとよく対応する。森沢,上の山に分布する礫質石灰岩から産するコノドント群集には,三畳紀新世と三畳紀中・古世の種とが混在するが,上部にむかってカーニアンからノリアンの種が順次出現する。これら石灰岩は浮遊性二枚貝や放散虫を含む遠洋性堆積物であるが,黒色で有機物に富み,同質の石灰岩が溶解して生じた珪質石灰岩の薄層を挟む,礫質石灰岩は,上述の石灰岩の堆積場に,より浅い場所に由来する遠洋性石灰岩が混入したものである。両石灰岩ともに1000年につき1mmないしそれ以下の堆積速度で,三畳紀チャートのそれに匹敵する低さである。これらの石灰岩が,酸素溶存量の低い深海底で形成されたことが推察される。
横浜国立大学の論文
1991-10-31