田穂石灰岩から産する下部三畳紀コノドント.プラティヴィロサスについて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
愛媛県東宇和郡城川町田穂に分布する田穂石灰岩から,三畳紀前期,スミシアン世コノドント,Plalfyvillosusが産出する。田穂産のPlatyvillosusの外形,プラットホームの表面装飾は極めて変異に富む。これらの標本のうち,歯を有するものについて,歯の形態と分布状態から4つのmorphotypeに識別した。しかし,いずれも連続的な変異が認められ,これらの個体はPlatyvillosus costatus (STAESCHE)の種内変異を示すものとみなした。Platyvillosus costatusのMorphotype δとしたものは,局部的に装飾が失われ,表面が滑らかになっていることで特徴づけられる。この現象は堆積時の摩滅あるいはコノドント動物が捕食器官などとして使用した結果摩滅したものではなく,一度形成されたプラットホームの表面が溶解したか,分泌物で覆われたために生じたとみられる。Platyvilosus costatusと共存するP. hamadai KOIKEは,プラットホームの表面に装飾をもたず,まったく滑らかであるのが特徴である。しかし,P. costatusのMorphotype δの一部の個体とP. hamadaiとは識別困難である。Platyvillosusはその形態から,脊椎動物の歯と同様な機能を有していたとみなされる。 P. costatusの形態にみられる顕著な変異は,器官内での部位の違いを反映しており,また, P. costatusとP. hamadaiの形態の違いは,食性の差違を示すものと推定される。
- 横浜国立大学の論文
- 1988-10-31
著者
-
小池 敏夫
Geological Institute Yokohama National University
-
小池 敏夫
Institute of Geology, Faculty of Education, Yokohama National University
-
小池 敏夫
Institute Of Geology Yokohama National University
関連論文
- 足尾山地南西部栃木県葛生町北部の外来性石灰岩から産する三畳紀コノドント
- 足尾山地南西部栃木県葛生町北部の外来性石灰岩から産する3畳紀コノドント〔英文〕
- Ellisonia triassica Muller(コノドント)の構成要素〔英文〕
- 田穂石灰岩から産する下部三畳紀コノドント.プラティヴィロサスについて
- 田穂石灰岩から産する下部3畳紀コノドント・プラティヴィロサスについて〔英文〕
- 東京都西多摩郡日の出町岩井産のスミシアン(三畳紀古世)コノドント
- 東京都西多摩郡日の出町岩井産のスミシアン(三畳紀古世)コノドント〔英文〕
- 966. 田穂石灰岩産三畳紀コノドント Ellisonia dinodoides (Tatge) の構成エレメントならびに進化傾向
- 641. 沖繩島産上部三畳系コノドントについて