軽度障害児に関する定期健康診断の結果
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概要
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普通学級在籍障害児と特殊学級児の健康状態の一端を知る目的で,これら障害児の健康診断票を入手し,記載事項について検討した。調査結果,次のようなことが見出された。(1)普通学級在籍障害児と特殊学級児全員に言語障害があり,特殊学級児には更に全員に精神薄弱があった。また1%水準の有意差をもって特殊学級児の方が1人平均の重複障害数が多かった。(2)体格は両群間に差はなかったが,普通学級在籍障害児は,やや正常発育帯内の者が多く,特殊学級児は,身長が低く肥満型の者またはやせ型の者が多くなっている。(3)視力検査では,普通学級在籍障害児の83.9%に,特殊学級児の25.8%に視力検査ができた。視力の最低は両群とも0.3であったが,正常の視力があると考えられた者は,普通学級在籍障害児の61.3%,特殊学級児の14.5%であった。(4)聴力検査では,普通学級在籍障害児の25%に難聴があったが,特殊学級児は皆無であった。しかし,検査適応では,普通学級在籍障害児は不適応者がなく,特殊学級児の61.3%が不適応であった。(5)眼疾患では,普通学級在籍障害児は不明の者以外の87.1%全員が正常であったが,特殊学級児は62.9%に異常が認められ,5%水準の有意差があった。疾患の多くは斜視,結膜炎であった。(6)耳鼻咽頭検査では,異常者が普通学級在籍障害児の41.9%,特殊学級児の14.5%に認められた。疾患の内容は主に,耳垢栓塞,鼻炎であった。(7)う歯では,普通学級在籍障害児の方が5%水準で未処置歯が多く,1人平均のう歯数は特殊学級児の3.6本に対し5.4本と多かった。また,特殊学級児には無う歯児が9.7%いた。(8)寄生虫検査では,ぎょう虫卵の陽性者が普通学級在籍障害児に6.5%,特殊学級児に4.8%おり,2年間以上陽性反応を呈した者が普通学級在籍障害児に6.5%,特殊学級児に8.1%いた。(9)皮膚疾患検査では,両群とも1人づつであったが,在籍した全年度の調査では普通学級在籍障害児で12.9%,特殊学級児で1.6%で5%の有意差があった。(10)ツ反検査では,結核患者は両群ともなかったが,中等度および強陽性反応者が,普通学級在籍障害児に12.9%,特殊学級児に14.5%あった。(11)蛋白尿検査では全員陰性であり,潜血反応では特殊学級女子1名が陽性であった。(12)心臓疾患の検査では,特殊学級所属のダウン症児1名が先天性心室中隔欠損症のほか,全員正常であった。以上,調査の結果,全般的傾向として普通学級在籍障害児は特殊学級児より障害や疾病が少ないが,衛生管理が十分届く必要のある歯疾患や心理的因子によって出現し易い耳鼻咽頭疾患などでは,逆に普通学級在籍障害児に疾患が多かった。
- 1982-10-30
著者
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