一次元トラッキング動作における先見と短期記憶
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人間のスキルの重要な特徴であるタイミングと範囲の問題を心において,一次元のトラッキング動作における短期記憶と先見の効果を検討すべく実験が計画された。大学生男女それぞれ20名ずつを被験者として,刺激表示速度の速い条件と遅い条件で,5つのMasking levelと5つのPreview levelをお互いに組合わせてトラッキング事態における有効適切な範囲を求めた。その結果,Slow inputでは,実験順序と個人差それにMaskingが有意であり,特にMaskingの幅が3cm以上になると誤りが急に多くなることがわかった。Previewが有意でなかったのは,表示速度が遅いためにPreviewのせまい幅でも大きい幅でも同一に受け取られ,まだ到達せぬシグナルを前もってチェックする必要を起させなかったと思われる。Fast inputでは,MaskingとPreview,それに交互作用が有意であった。この速度は,Maskingの幅をだんだんと広げると誤りが多くなり,Previewを順次に広げると誤りが減少するという結果を生じた。PreviewとMaskingの幅を組織的に組合した結果,Slow inputではMaskingなしで,Previewが1cm〜3cmまでの範囲が一番成績がよく,Masking 5cmとPreview 5cmが一番悪かった。Fast inputではMaskingなしで,Previewが3cmと5cmで得点が高く,Masking 5とPreview 0.5で最小得点を示した。表示速度の早い条件では,特に言語行動の短期記憶の知見,運動系におけるPreviewの知見と似ているが,速度の遅い条件では,Previewに関して,これまでの知見と一致を示さなかった。
- 横浜国立大学の論文
- 1968-12-20
著者
関連論文
- 年齢の変化とトラッキング・スキルにおける直接見越,直接再生,後見の範囲
- 一次元トラッキング動作における先見と短期記憶
- ボールゲーム事態における予測の研究 : バスケットボールにおける対人予測の能力について
- 水泳実習における女子学生の疲労調査成績