ドイツ・オープン・チャンネルにおける現状と課題少数意見表明機会として市民に開かれた放送の20年
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概要
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これまで行政セクターの独占領域であったさまざまな地域の仕事がNPOセクターに「協働」というかたちで移譲され、市民参加を実体化する公共圏の再構築が行われている。一方2005年初頭、2002年まで日本で唯一の非営利放送であったNHKが、受信料管理の面からも、編集権行使の面からも厳しく指弾される立場となった。その公共性において、特殊法人である日本放送協会の、存立理念が問われているといえよう。市民参加と公共部門の再構築が放送の分野においてどのように行われているかを探るため、本報告では2004年に20周年を迎えたドイツの「オープン・チャンネル(Offener Kanal)」の歴史の側面を探る。1984年この制度の創設で、ドイツの放送は、「カメラとマイクを、万人の手に引き渡」すことになった。毎年多くの人々が自らの意見表明の自由についてオープン・チャンネルを通じて初めて認識するようになり、特異な人々の意見で満ち溢れるとの予測に反して、ごく普通の人々がオープン・チャンネルでテレビ・ラジオ番組の作り方を学び、提供された機会を自分自身の関心事を伝えるために利用しているという。ドイツ基本法第5条に保障された「放送および放映の自由」をもとに民主主義という明確な目的を共有し、国民の基本的人権のためのインフラであることを20周年にあたり再確認したオープン・チャンネルの現状とその議論について報告する。
- 2005-09-30
著者
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