ゴーラル体細胞の核を牛卵細胞に種間移植する胚盤胞の生産(臨床繁殖学)

概要

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種間におけるクローニングは,絶滅危惧種の保存に役立つと共に核と細胞質の相互作用を研究するのに有効な方法である.本研究では,脱核した牛の第二有糸分裂中期卵とゴーラルの線維芽細胞の融合によって作出したゴーラルの核種間移植胚のin vitroにおける発育を調べた.ゴーラル皮膚線維芽細胞を血清添加,非添加で2〜5世代継代後,脱核後牛第二有糸分裂中期卵に移植した.細胞融合は,電気的方法により行い,化学的方法により活性化させ,合成卵管液(mSOF)もしくは10%FBS組織培養液(TCM-199)で培養した.培養液中の血清の有無は,再形成卵の融合割合,2細胞への分裂,9細胞以上の胚,桑実胚及び胚盤胞への発育に影響を与えなかった.血清を加えたドナー細胞再構成胚をmSOFで培養したとき,202個の融合胚から3個の胚盤胞が得られた.しかし,血清を加えない場合には,mSOF培養下では胚盤胞が得られなかった.ゴーラル胚の総細胞数は,平均130.3であった(105〜180の範囲).結論として,本研究において牛の卵を用いて,ゴーラル線維芽細胞を使用した種間核移植後の胚盤胞の発育が可能である事が明らかとなった.
社団法人日本獣医学会の論文
2006-11-25