戦後上海における俸給生活者層の社会・文化活動
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概要
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本稿は,上海の俸給生活者たちが戦前・戦時期に組織した親睦団体の聯誼会が戦後内戦期に展開した社会・文化活動を見ながら,国民党と共産党による俸給生活者層の掌握過程を考察した。戦後の国民党政権の聯誼会内部に対する干渉は戦時の傀儡政権よりも強く,他方で共産党地下党員や左派系活動家も勢力を拡大して活発に活動したので,幾つかの聯誼会は国民党の社会統制と共産党の大衆運動が衝突する場となった。聯誼会の顔役や指導者をみると,戦後に重慶から上海にやって来た国民党系の有力実業家が台頭することがあったが,多くの実業家や俸給生活者たちは,政争に直接巻き込まれないように慎重な配慮を示した。また聯誼会に加わった俸給生活者たちのなかには,歌唱・ダンス・演劇を通して国民党政権を批判する者がいた。そして国民党から共産党への政権交代期において,俸給生活者層のなかには聯誼会を活動基盤に団結し,治安維持や新政権の宣伝に努める者がおり,俸給生活者層の大部分もその活動を追認して,上海の都市地域社会の秩序を守った。
- 2005-12-31
著者
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