肝吸虫Clonorchis sinensisの特異的グロビン分解酵素の研究 : 酵素の精製と性状について
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概要
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肝吸虫の粗抽出液について、セファデックスG-200を用いたゲル濾過、およびDEAE-セルローズカラムクロマトグラフィーを順次行って、特異的グロビン分解酵素の精製を試みた。その結果、溶出条件の異なる3分画に酵素活性を認めたので、それらの分画、Cl1,Cl2,Cl3について、酵素学的性状を検討した。1.各分画の酵素はいずれも、反応時間に比例して活性が増加し、かなり安定な酵素と考えられた。また、至適pHはCl1がpH3.5〜3.6,Cl2,Cl3がpH3.8〜3.9であった。2.各分画の酵素のKm値はそれぞれ、Cl1,Km≒0.11mM,Cl2,Km≒0.16mM,Cl3,Km≒0.046mMであった。3.これらの酵素はいずれも、Hbやミオグロビンなどを特異的に水解したが、Cl2は他の酵素に比較して卵白アルブミンなどを多少水解し、基質特異性の低い傾向がみられた。4.いずれの酵素も、N-α-トシル-L-リシルークロロメタン、ジエチルジチオカルバメイト、モノヨード酢酸によって阻害された。
- 群馬大学の論文
- 1981-03-10