農産物の熱風乾燥法に関する研究(第1報)
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概要
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この研究における第1報は, 1959年から, 実施した農産物の熱風乾燥法に関する研究の中, 各農産物の乾燥特性, および生籾, 小麦, 除虫菊の熱風乾燥法についての実験結果を集録したものである.本報は次の4つの項目についての研究結果を記載した.I.各農産物の乾燥特性曲線および乾燥速度.II.生籾の熱風乾燥法に関する研究.III.小麦の厚層通気乾燥に関する研究.IV.除虫菊の熱風乾燥に関する研究.各研究項目ごとに研究結果を要約すれば, 次のようである.I.各農産物の乾燥特性曲線および乾燥速度(1)対称農産物としては, 生籾, イ草, 除虫菊, レンゲ, エンバク, クローバー, 切干しかんしょ, 輪切りこんにゃく, をとりあげ, 実用熱風温度の範囲でその乾燥特性曲線を求めた.(2)供試した農産物の乾燥特性の形式は, 実用熱風温度の範囲では, 〔I〕型に属す.すなわち乾燥速度は, 含水比に比例して減少する.(3)乾燥速度勾配は, 農産物により異なりそれと熱風温度との関係は, K_d=α(t-t_w)^n+bの一般式で示される.各農産物のα, nの値について求めた結果は, 本文Chap.2のTab.II-14に記載した.(4)同一材料でも, その部位により, 乾燥速度が異なるため未乾, 過乾が生ずるので, その部位ごとの乾燥速度差を比較した.II.籾の熱風乾燥に関する研究この章では次の項目について研究を行なった.1.生籾の厚層通気乾燥に関する基礎的実験2.乾燥方法が乾燥速度および籾胴割れに及ぼす影響3.乾燥と籾の胴割れについて4.乾燥後の処理法が籾品質に及ぼす影響第1節では, 生籾厚層通気乾燥における乾燥特性を明らかにし, 与えられた乾燥条件(熱風温度, 送風量, 堆積量, 含水率)から, 恒率乾燥速度, 減率期間乾燥速度を算定する近似算定式を導いた.また乾燥むらについてはその含水率較差と送風量, 温度の関係について検討した.第2節では, 乾燥方法を3つのタイプに分け, そのそれぞれについて乾燥速度を比較した.第3節では, 熱風乾燥における籾胴割れの発生要因を追求した結果, 乾燥後の吸湿が, その発生を促す要因であることが判明した.また熱風条件および乾燥速度と胴割れ発生率を実験より求めた.第4節では熱風乾燥を行なった籾について乾燥後の処理方法を籾すり時期, 貯蔵放冷, 処理作業方法の面から検討した.III.小麦の厚層通気乾燥に関する研究(1)小麦厚層通気乾燥における乾燥特性曲線を40℃〜60℃の熱風温度範囲で求めた.その結果減率乾燥速度は(G/M_d)にかかわらず, 含水比に比例して減少するとの結果を得た.(2)小麦における恒率乾燥速度, および減率乾燥速度勾配は, 近似的に次式で表わされることを実験的に求めた.φ_c=0.64(G/M_d)(H_w-H_1)(IV-8)式参照K_d={34.0(H_w-H_1)^<1.46>+0.054}{(G/M_d)-0.24}(IV-12)式参照(3)小麦厚層通気乾燥において, 乾燥初期の上層部吸湿は(M_d/G)に比例して増加するとの結果を得た.(4)小麦厚層通気乾燥において, 含水率W_1からW_2まで乾燥するに要する時間は, 次式で求められることの結果を得た.[numerical formula]IV.除虫菊の熱風乾燥に関する研究除虫菊を通気乾燥する場合, 堆積量, 送風量, 熱風温度をかえた場合の乾燥特性曲線を実験的に求めた.その結果から, 恒率期間における乾燥速度はφ_c=0.746(G/M_d)(H_w-H_1)(V-12)式参照減率乾燥速度勾配は, 減率乾燥1期がK_<d1>≒1.2(G/M_d-C)^<1.46>×10^<-4>減率2期がK_<d2>≒{0.203(G/M_d)+6.4}(t-t_w)×10^<-3>なる近似式を得た.(Chap.5(V-5)(V-7)式参照)またφ_c, およびK_<d1>, K_<d2>より, 乾燥所要時間を求める算定式を導いた.また実用的試験として次の4つの項目について試験を行ない, その乾燥能率, 経費を調査検討した.(1)試作した4段順乾乾燥機による除虫菊の熱風乾燥試験(2)静置式乾燥機による熱風乾燥試験(3)常温通風乾燥試験(4)天日乾燥試験
- 鹿児島大学の論文
- 1966-12-26