農産物の熱風乾燥法に関する研究(第2報)
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概要
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1959年から実施した農産物の熱風乾燥法に関する研究の中, 第2報においては, 次の5項目の研究についての研究結果を記載した.I.並行流連続乾燥方式による籾乾燥の基礎的研究.II.通気流連続乾燥方式による穀類乾燥の基礎的研究.III.イ草の熱風乾燥法に関する研究.IV.牧草の熱風乾燥法と関する研究.V.農産物の厚層通気乾燥における乾燥熱効率.各項目ごとに研究結果を要約すれば, 次のようである.I.並行流連続乾燥方式による籾乾燥の基礎的研究(1)並行流乾燥における各乾燥条件下での乾燥特性曲線を実験で求め, その結果より, 物質移動係数(k), 熱移動係数(h), 恒率乾燥速度(φ_c), 減率乾燥速度係数(k_d)を求める一般式を導き出した(kは7-9,hは7-10,φ_cは7-11,7-12,k_dは7-18,7-19の各式を参照).(2)定常および不定常並行流乾燥において, 任意の乾燥条件下での乾燥能率算定の一般近似式を得た(定常流については, 7-20,7-21,7-22式, 不定常流については, 向流では7-25,並流では7-26の各式を参照).(3)並行流乾燥における減率乾燥期間の乾燥速度は, 実用的含水比内においては含水比に比例して減少し, その限界含水率は, 20%〜23%である.II.通気連続乾燥方式による穀類乾燥の基礎的研究(1)厚層通気乾燥における各乾燥条件下での乾燥特性曲線を実験で求め, その結果より, 任意の乾燥条件下における恒率乾燥速度係数(k_c), 減率乾燥速度勾配(k_d), を算定する一般式を導き出した(k_cについては8-19,8-20式, k_dについては8-23式を参照).(2)穀類(籾, 麦)の通気連続乾燥における乾燥能率, および乾燥機容積設計のために必要な熱容量係数(h_a), 物質移動容量係数(k_a), 移動単位数(N_t)を求める一般式を導き出した(N_tについては8-17,k_a, h_aについては8-18式参照).(3)不定常流下における連続通気乾燥の能率を, 任意に設定された乾燥条件下で求める方法を検討した.III.イ草の熱風乾燥に関する研究(1)泥染イ草を各乾燥条件下で厚層通気乾燥し, その乾燥特性曲線を求めた.その結果, 任意の乾燥条件下における恒率乾燥速度および係数(φ_c, k_c), 減率乾燥速度勾配(k_d), 乾燥所要時間(θ)を算定出来る一般近似式を得た(k_cについては9-1,φ_cは9-2,θは9-3,k_dは9-4式を参照).(2)各堆積方法が異った場合における, 乾燥速度や乾燥むらについて比較検討した.(3)乾燥の方法がイ草の物理的性質におよぼす影響について検討した.(4)泥染めイ草と非泥染めイ草について, 熱風, 天日乾燥の場合の乾燥速度について比較検討した.(5)常温通気が生イ草の一時的貯蔵におよぼす効果について試験した.IV.牧草の熱風乾燥法に関する研究(1)牧草(レンゲ, クローバー)を各乾燥条件下で厚層通気乾燥し, その乾燥特性曲線を求めた.その結果, 任意の乾燥条件下における恒率乾燥速度および係数(φ_c, k_c), 減率乾燥速度勾配(k_d), 限界含水比(W_c)を算定する一般近似式を導いた(k_cについては10-6,10-7,10-8,10-9,φ_cは10-10,10-11,10-12,10-13,k_dは10-16,10-17,W_cは10-18式を参照).(2)レンゲ, クローバーの厚層通気乾燥を行う場合の熱移動容量係数(h_a), 物質移動容量係数(k_a)と送風量との関係を明かにした(関係式については10-14,10-15式を参照).(3)レンゲ, クローバーの任意の条件での厚層通気乾燥における乾燥所要時間についての近似算定式を導いた(10-19,10-20,10-21式参照).(4)上記厚層通気乾燥における上層, 下層の水分むらを算定する近似算定法をみちびき, この算定法による値と, 実験により測定された値とを比較検討した.V.農産物の厚層通気乾燥における乾燥熱効率(1)厚層通気乾燥の場合, 任意の乾燥条件下における乾燥熱効率(η)の算定式を導き出した(恒率期間の熱効率η_cについては11-3式, 減率期間の任意の含水比における熱効率η_dについては11-7式, 減率期間全体の平均熱効率η_<m-d>については11-8式, 全体としての平均熱効率η_mについては11-9式を参照).(2)上述の熱効率算定に必要な各農産物における恒率乾燥速度係数(k_c), 減率乾燥速度勾配(k_d)および限界含水比(W_c)をまとめて記載した.(3)平均乾燥熱効率は恒率乾燥速度係数(k_c)と, 加熱温度によって左右されることが判明した.
- 1968-02-15