コムギおよび近縁種の種々の播種期における生育習性
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概要
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コムギ属10種(1粒系2種, 2粒系4種, 普通系3種, Timopheevi系1種)とAegilops属2種について播種期の移動に伴う生育過程を観察し, あわせてこれらの牧草資源としての可能性をも検討した.1)供試12種の秋播性程度は, Ae.squarrosa>T.aegilopoides, T.dicoccoides>Ae.speltoides>T.durum, T.polonicum, T.spelta>T.monococcum, T.timopheevi, T.dicoccum, T.aestivum, T.compactumの順であると推定された.また春播型, 5種の日長感応性に明らかな差が認められT.monococcum, T.timopheevi>T.aestivum, T.compactum>T.dicoccumの順であり, T.dicoccumはほぼ不感光性と思われた.2)草丈はT.dicoccum, T.durum, T.polonicum, T.aestivum, T.compactum>T.monococcum, T.timopheevi, T.spelta>T.aegilopoides, T.dicoccoides, Ae.squarrosa, Ae.speltoidesの順であった.また草丈は全生育過程の初期と後期に顕著な伸長が観察された.なお生育後期の伸長は, 一定の葉位における葉身長, 葉鞘長の増大によって開始されるものと推定され, 出穂と密接な関連をもつ.この開始期は, 秋播(10月, 11月, 12月)の場合に明らかな種間差異が認められた.3)秋播(10月, 11月)における主稈の出葉過程に明らかな種間差異が認められた.春播型のうち日長感応性の低い種において, 1回の出葉転換期が観察されたのに対して, 秋播型および春播型のうち日長感応性の高い種では2回観察された.4)栽植密度による最高茎数の変動は, 匍匐性のT.aegilopoides, Ae.squarrosaで最も大きかった.また秋播および冬播(10月, 11月, 12月, 1月)の場合に, 最高分けつ期に明らかな種間差異が観察された.5)上記のコムギ属, Aegilops属の生育過程の観察結果から, 牧草として採草用, 放牧用への利用の可能性, 既存の寒地型牧草と共通の問題点として夏枯れ症状などの諸点に関して若干の議論を行なった.
- 鹿児島大学の論文
- 1975-03-20
著者
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