粕谷甲一のキリスト教福祉思想の一考察
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概要
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カトリック司祭粕谷甲一(Catholic Priest Koich Kasuya)は現代日本カトリック教会を代表する福祉思想家の一人である。しかし,個性的な活動家であり思想家である。その活動の特色の第一は,例えば修道女集団のような信仰者たちの協同活動としてカトリック福祉事業を行うのではなく,強いキリスト教信仰に発し,キリスト教信仰によって支えられながらの活動ではあるが,自己の,カトリック教団所属の司祭という社会的身分や,自分がキリスト教信者であることなどは,ただ神だけに知られていれば充分と,それを人々の前には全く出さず,福祉問題に全身全霊を挙げて打ち込む一人の市民活動者としてボランティア的福祉活動を一般の人たちと連帯しながら行っていることである。特色の第二は,その活動や思想が「現代世界における日本人キリスト者の特別の使命」の意識に支えられていることである。それは北半球に属する者としての南半球への国際福祉的な奉仕活動,且つ東西文化圏の接点にある者として東西文化の融和のための奉仕である。特色の第三は,身近の貧困問題と取り組み,苦しんでいる隣人と共に歩もうとする現場の福祉活動者ということである。
- 2006-03-01