広島県庄原市,西城川河床における中新統備北層群の岩相と石灰質ナンノ化石
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概要
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広島県庄原市の西城川河床において中新統備北層群の岩相およびその側方変化を記載し,既報の化石産出に関する資料とあわせて,付近一帯における中新統堆積時の古環境変遷を復元した.また石灰質ナンノ化石の検討を行い,この露出の時代論に関しても考察を行った.中新統の岩相および化石相の垂直・水平的変化は,上位に向かって深海化する古環境の変化を記録している.外洋的な浅海環境を示す化石群集と,「藻類石灰岩」が,中新統の基底部に認められる.汽水〜潮間帯の古環境を示す層準は存在しない.これらの証拠からこの露出周辺の中新世古環境は,岩礁〜礫質の浸食海岸に囲まれた溺れ谷のような場所であったと推定される.復元された古環境は,この海進が広域的かつ急速な沈降,あるいは海水準の上昇のもとに起こったことを示している.石灰質ナンノ化石Sphenolithus heteromorphus, Helicosphaera ampliapertaなどの産出状況から,調査地域の中新統はMartini(1971)のNN4帯上部に対比される.従来の時代論とあわせて考察すると,西城川河床の備北層群は,16Ma前後の50万年間足らずの期間に堆積したものと判断される.
- 1999-05-25
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