東アジアの技術構造と輸出競争力
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概要
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近年、東アジアがいわゆる「雁行的発展」パタンに該当するか否かが論じられているが、こうした議論には、各国の技術構造が明示的に分析されていないという欠点がある。本稿では、産業連関表から知りうる技術構造を手がかりとして日本・韓国・台湾の技術構造を了解し、それが貿易パタンとどのように関係しているのかを分析する。本稿の分析によれば、(1) 韓国および台湾においては、他の製造業に比べてIT産業で輸入を必要とする状態が持続している。また、(2) 韓国および台湾では、輸出財が国内財よりも資本財・中間財輸入を必要とする状態が持続している。しかし、(3) 2000年代にはいると、台湾では輸出財が資本財輸入を必要とする度合いは強まったが、韓国では逆に弱まっている。同時に、(4) 日本においては、資本財輸入の必要度が急速に高まった。したがって、韓国および台湾の輸出競争力を説明する上で、依然として、プロセス技術能力よりもそれ以外の能力の方が相対的に重要であると解釈できるが、2000年代の変化は、東アジアの貿易・技術構造に重要な変化が生じている可能性を示唆する。
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