手紙文の産出過程
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概要
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手紙文を産出する内的過程を明らかにするため3つの実験が行なわれた.実験1では,大学生に英文表記の内容メモを与え,そのメモを見ながら複数の宛先へ手紙文を書くよう教示した.さらに書き始める前と書いている途中で考えた事を報告させた.その結果,書き手は宛先を考慮した上で手紙文のスタイルについての表現方針や使用される語句や表記についてのプランを立てていることがわかった.このことは書き手と宛先人の社会的関係が,手紙文を書くときの強力な枠組として働くことを示している.実験2では,前実験より詳細な手紙文産出方略を発見するため,書き始める前にプランを立てる必要性が高まるよう作成時間が制限された.その結果多くのプロトコルが得られ,それらから合計13種類の方略が発見された.さらにそれらの方略は宛先に応じて組み合わされることが示された.また語句や表記の修正にプランが関与している例が認められ,それらが局所的な制約のみから決定されるのではないことが示された.実験3では,一人の被験者が一つの宛先にのみ書く場合でも複数の宛先に書く場合でも上記の結果が得られることが確認された.
- 日本基礎心理学会の論文
- 1985-10-31
著者
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