1-メチルシクロプロペン処理および無処理リンゴ果実におけるエチレン受容体様遺伝子の発現解析
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概要
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強力なエチレン作用阻害剤である1-メチルシクロプロペン(1-MCP)は,エチレンにより制御されている果実の成熟を阻害する.1-MCPはエチレン受容体と不可逆的に結合し,新たなエチレン受容体が合成されることでエチレン感受性が戻ると考えられていることから,エチレン受容体様遺伝子の解析は1-MCPの効果を考える上で重要である.リンゴ果実から3種類のエチレン受容体様遺伝子(Md-ETR1, Md-ERS1, Md-ERS2)を単離し,1-MCP処理および無処理の'王林','ふじ'果実におけるこれらエチレン受容体様遺伝子の発現様式を解析した.1-MCP処理により両品種においてエチレン生成量が抑制され,Md-ERS1およびMd-ERS2の発現が抑制されたが,Md-ETR1はわずかに抑制されたにすぎなかった.リンゴにおいて1-MCPが高い鮮度保持効果を示す理由として,1-MCP処理を行うことによりエチレン生成が抑制され,Md-ETR1の発現が完全に抑制されないことが考えられた.Md-ERS1およびMd-ERS2の発現量は,貯蔵性の高い品種'ふじ'において多かった.エチレン受容体はエチレン情報伝達系を負に制御していることから,'ふじ'ではエチレンに対する感受性が低い可能性が考えられた.
- 園芸学会の論文
- 2006-11-15
著者
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