阪和高速道路料金所におけるシミュレーション解析
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概要
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きたるべき21世紀へ向けて、都市、地方を問わず高速道路が果たすべき役割はますます大きくなりつつある。しかし、道路網の発展以上に車の使用台数が増加し、道路管理上最も大きな問題の1つである渋滞が各所で発生している。本稿では、阪和自動車道岸和田本線料金所を事例として、渋滞のメカニズムと改良をモンテカルロ・シミュレーションを通して解析していくものである。道路交通流の理論から考察すると、速度と交通密度(単位長さの区間に存在する車両の台数)の間には強い負の相関関係があり、速度-密度曲線から交通流が最大となる臨界点が導かれる。交通流の状態は臨界点を境にして、大きく様相が異なってくる。つまり、臨界点の近傍では交通流は一般に不安定であり少しの乱れから速度の低下をきたしたり重度の渋滞に陥ることがある。阪和自動車道の料金制度は海南から岸和田までが対距離料金制を採り、岸和田以北は均一料金制を採用している。そのため、和歌山方面から大阪に向かう車は、岸和田本線料金所で車を止めてそれまでの走行分の料金を支払う必要がある。ブースは全部で7レーン開放可能になっている。7ブース全てを開放すれば処理能力は調査により29台/分強となっていた。そして車両の到着数がこの値を越えると渋滞は増加し、40台/分を越えると渋滞は急激に進み、数十分で何kmもの渋滞が発生することが分かった。そこで渋滞解消の一方策として、料金所の何ブースかに光ファイバーセンサーの読取方式を採用したと仮定して、シミュレーションを行ってみた。光センター方式は日本ではまだ実用化されていないが、フロントガラスの内側にリセプターを装着した車両は停止する必要がないので、現行のシステムに比べ十数倍ものハイスピードで流れていくことができる。光センサーを1ブースだけに採用しても渋滞は半分に軽減されることも予測できる。交通渋滞の原因はきわめてはっきりしている。渋滞箇所における交通量が、その場所の交通容量を超過したためである。したがって渋滞の改善策とは、渋滞箇所の容量の増大を図ることである。阪和高速の岸和田料金所での渋滞は料金徴収業務のみが原因となっているので、徴収方法、処理能力の向上、ブースの拡幅などにより大幅に渋滞は改善されるはずである。しかし光センサー導入を考えた場合、料金所手前の5km程の本線を3車線以上に拡幅しないと改善しても効果は上がらないことも分かった。