資本主義的帝国主義と低開発 : 資本主義VS非資本主義 (唐渡興宣教授記念号)
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概要
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国際的支配-従属関係を非資本主義的帝国主義と資本主義的帝国主義とに分類して考察する。この概念を明らかにしながら,現在まで続く資本主義的帝国主義の起源を19世紀末ラテンアメリカにおける国民経済設立に求める。周辺が帝国に対して従属的で,かつ国内的には非資本主義的な経済外的強制力で統治する政治的機関として,従属的国民国家の確立することによって,非資本主義的帝国主義を脱却し,資本主義的帝国主義へと移行していった。そこでは支配-従属関係が隠蔽され,余剰収奪が強化されていく。初期資本主義的帝国主義では,周辺部の資本主義化による成長を押さえ込める程の経済的権力を中心部が有していなかったため,中心部は周辺部を非資本主義的生産関係に押しとどめておこうとした。これを再編非資本主義的低開発とする。グローバル資本主義段階に入ると資本主義的帝国主義は,周辺部における資本主義的生産関係の拡大を,帝国の資本蓄積へと結びつけることができるようになった。このような資本主義的帝国主義の変化は,低開発国の一部を資本主義的低開発として位置づけた。アジア,BRICs諸国などの成長はこのような流れから捉えられるべきである。
- 北海道大学の論文
- 2006-11-29