高度経済成長期における重症児の親の陳情運動とその背景
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日,在宅支援に重点のおかれている重症児福祉は,高度経済成長期に初めて施策が講じられている.とりわけ,施設拡充がもっとも推進された高度経済成長期にあって,親の運動はこの施策の内実に強い影響を及ぼしてきた.重症児の親の運動は,1960年代に入って独自の展開をみせるようになる.親たちはこの運動のなかで,親としての心構えを強調しながら重症児対策の必要性を訴えてきた.そして,1965年以降には,親の訴えは飛躍的にも対策へと反映される.こうした対策への受容の背景には,当時の重症児対策が社会開発の一環として取り組まれていたことがかかわっており,またこの時期の施策が,家族機能を前提にした施策であったことが,親の運動の様態を規定した.本稿では,当時の重症児対策の限界性が,重症児家族に対する「救済であり,救済でしかなかった」こと,親の責任を最大限に見込んでいた点にあることを指摘している.
- 一般社団法人日本社会福祉学会の論文
- 2006-08-31
著者
関連論文
- 教育心理学者・実践者の教育改革運動と精神薄弱児の社会生活能力への着目--精神薄弱教育の戦時・戦後占領期
- 障害をもつ子どもを迎え入れる親の実践と優生思想--先天性四肢障害児父母の会の1970/80
- 「障害児の親」が感情管理する主体となるとき
- 障害の原因究明から親・子どもの日常生活に立脚した運動ヘ : 先天性四肢障害児父母の会の1970/80年代
- 高度経済成長期における重症児の親の陳情運動とその背景
- 専門性のもつ抑圧性の認識と臨床心理業務の総点検 : 日本臨床心理学会の1960/70