被虐待児へのエンパワーメント・アプローチ : 子どもとリジリアンスの視点から
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概要
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児童虐待の影響が論じられるとき,子どもは傷つきやすく無力な存在であるから,虐待を受けると,長じて,犯罪を犯したり虐待する親になるという言説は,19世紀末から20世紀初頭の児童虐待防止運動発生以降,常に語られる「警告」となっている.近年の北米を中心とした調査研究では,こうした直線的な因果関係はすでに否定されているが,日本においては,子どもに対する弱者救済型の援助を自明とする児童福祉観は根強く,パターナリズムからエンパワーメントへと援助理念のパラダイム転換が進行している現在も,子どもへのエンパワーメントは,等閑視されているように思われる.本稿では,児童福祉分野における伝統的子ども観と病理モデルをリジリアンスの視点から再検証し,CAPプログラムを援用した緊急介入場面における被虐待児へのエンパワーメントの実践を紹介している.
- 2006-05-31