研究分野における倫理問題(第14回日本生命倫理学会年次大会報告)
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概要
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わが国における遺伝子研究とか疫学研究のような「ヒトを対象とする調査研究」で倫理の問題が議論されるようになったのは、平成13年3月に三省合意のガイドラインができた頃からであり、つい最近のことである。それまでは、体外受精や臓器移植といった臨床医学の場面での倫理問題が主体であった。財団法人放射線影響研究所(放影研)では、1977年に人権擁護調査委員会を発足して以来、調査研究における倫理面での審査を行ってきたが、この委員会が設立したのは、当研究所が日米合同調査研究機関であることから、米国において黒人男性を対象として行われていた人体実験、「タスキギー研究」発覚に端を発する、施設内審査委員会(IRB)の設置が義務付けられたことに起因している。放影研では過去230件あまりの調査研究における倫理問題をこの人権擁護調査委員会において審査している。その間、被爆二世健康調査をはじめ、さまざまな倫理問題を取り扱ってみて、筆者は、「調査する側」と「調査される側」がいかにお互いの立場を理解していくか、どうやってその信頼関係を築いていくかが倫理問題の基本であるように思っている。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2003-09-18