ヒトゲノム解析国際倫理委員会の活動と日本の現状(第13回日本生命倫理学会年次大会報告)
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概要
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1990年頃から始まったヒトゲノム解析計画は、国際共同研究組織であるHUGO(Human Genome Organization、ヒューゴ)とアメリカのベンチャー企業の激しい競争により、2000年に終了宣言がなされた。しかしその医学的な利用はこれからの課題であり、特に倫理面の配慮が重要である、と国際的に認識されている。日本でも文部科学省などの研究組織において、ヒトゲノム解析に伴う倫理的な問題が検討されてきたが、倫理研究者と実験研究者の相互理解は深まっていない。また2001年に発表された日本政府の指針は、国際的なガイドラインなどとかなり異なっていることは今後問題となろう。HUGO倫理委員会では、1996年以降、いくつかの指針、声明などを発表している。委員会では当初は欧米の先進諸国の委員による、ユダヤーキリスト教的な思想が主流であったが、現在ではアジア、ラテンアメリカ、アフリカなどの委員も加わり、真にヒトゲノムの名にふさわしい検討が進められている。倫理的な検討、批判は、実験研究を阻害するとの誤解があるが、国際的な視点からはヒトゲノム解析に、世界共通の生命倫理観の確立が強く求められている。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2002-09-17
著者
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