現代バイオエシックス定義の再考 : その「超学際的」特質の観点からの考究
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概要
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バイオエシックスは、生命科学にまつわる諸問題へのアプローチの総体として捉えられ、主に医療倫理、環境倫理の概念枠内で分析可能な諸問題の総称となりつつある。しかし、バイオエシックスの成立理念には、人権運動としての性質が存在している。この点から考えると、バイオエシックスは、人権という変数のもとで、過去の価値観にとらわれず、新たな価値観を作り直す作業であるといえよう。この作業は、既存の学問における価値観にとらわれない超学際という状態をその性質としている。しかし昨今では、その作業を行わず、生命に対する一枚岩的な認識に基づいた議論が行われ、バイオエシックスの名のもとで、人権擁護の立場を喪失した主張が成されている。これら人権擁護の立場を抜きにした議論は、その本質を失ったものであると言わざるを得ず、我々は、バイオエシックスの理念について再度の認識を行う必要があると言えよう。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2002-09-17
著者
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