QOLと末期患者に対する基本治療義務・基本看護義務
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概要
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死の6ケ月ないし2,3ケ月ぐらい前の,がんなどの末期患者の治療や看護は,患者の最後の生存を人間にふさわしい充実した終末期とすることを目指すものでなければならない。その意味で末期医療の目標は末期患者のQOLの改善にあるといってよい。末期患者は回復可能性がなく,もはや医療によってその病状の悪化を食い止めることはできないが,鎮痛や対症療法などの基本治療と精神面でのケア・生活面でのケア・家族に対するケアなどの基本看護とによりQOLを改善し,末期患者の最後の生存を人間にふさわしい尊厳にみちたものにすることができる。基本治療・基本看護をなすことは,医師や看護婦などの保護責任者の義務であり,その重大な懈怠は刑法218条1項の保護責任者遺棄罪を構成する。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1991-04-20
著者
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