アストリムを用いた非侵襲的血中ヘモグロビン濃度測定に関する基礎的検討
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概要
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鉄欠乏に関する指標として,採血により血中ヘモグロビン値が測定されている。しかし,採血しないで測定できれば侵襲による負担がないことや簡便性など利点も多い。非侵襲的に血中ヘモグロビン値の測定が可能とされるアストリムを用いて測定の信頼性について検討した。また,今後,栄養や運動などに関する研究にアストリムを使用することを目的とし,集団における血中ヘモグロビン平均値の推定への有効性などについて基礎的な検討をおこなった。成人57名を対象にアストリムを用いて非侵襲的に血中ヘモグロビン値を測定し,採血による血液生化学検査から得られた血中ヘモグロビン値と比較した。その結果,この集団のアストリムによる測定平均値と採血による測定平均値は近い値を示して有意な差はなく(p>0.1),男性,女性の各集団においても同様に,それぞれ近い値を示し有意な差はなかった(p>0.1)。成人57名の各人におけるアストリムによる測定値と採血による測定値の差は0.15±0.93g/dlであった。アストリムと採血による各測定値の相関性を調べた結果,強い正の相関(r=0.72, p<0.01)があり,回帰式はy=0.79x+3.02であった。しかし,血中ヘモグロビン値が低いところでアストリムによる測定値が高くなる傾向があると考えられた。アストリムと採血により測定したヘモグロビン値のどちらも,ヘマトクリット,赤血球数,MCH,MCHCと正の相関があり,MCV,血清総蛋白,血清アルブミンとは相関がなかった。今後,血中ヘモグロビン値の低い人のスクリーニングやモニタリング等における有効性について,さらに検討する必要がある。
- 宮崎県立看護大学の論文
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