文献案内 リーチ&グラスプ動作
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概要
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リーチ&グラスプ動作は手を伸ばして物をつかむ運動である。リーチ&グラスプ動作の研究はこの20年間に集中して行われたが、本稿はその研究史のレビューである。リーチ&グラスプ動作の研究はJeannerodの2視覚運動チャネル独立仮説(1981)から始まり、終始この仮説をパラダイムとして行われてきた。Jeannerodは対象物の知覚的性質を内在的と外在的性質とに区分した上で、リーチ&グラスプ動作ではこれに対応して独立の視覚運動処理がなされるとした。この仮説を検証すべく、対象物の大きさや形(内在的性質)と位置や距離(外在的性質)を操作して運動学的実験が行われたが、両性質は独立に処理されるとはいえないという結果が大部分であった。この仮説検証とは別に、運動学の簡単なモデルにもとづいて、リーチ&グラスプ動作の軌道形成が説明できるという「新しい見方」が登場した(SmeetsとBrenner、1999)。今後のリーチ&グラスプ動作の研究は、動作の知覚運動統合の機構、および軌道形成論の2方向に分岐していくだろう。
- 東北文化学園大学の論文
- 2006-03-31
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