宮城県登米郡中田町方言の述語のパラダイム : 方言のアスペクト・テンス・ムード体系記述の試み
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概要
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東北諸方言のアスペクト・テンスについては,少しずつ体系的な記述が進んできている。しかし,東北諸方言の精密な記述のためには,(1)アスペクト・テンス・ムード体系というムード面もとらえた枠組み,(2)動詞述語だけではなく,形容詞述語・名詞述語まで包括的にとらえる視点,の2点が不可欠であるように思われる。本稿は,宮城県登米郡中田町の方言(以下,中田方言と呼ぶ)について,この2点をふまえた記述を行った。その結果,この方言には次のような特徴があることがわかった。(1)東北諸方言に広く見られるいわゆる「過去の〜ケ」を持たない,(2)すべての述語にパラダイム上一貫して2つの過去形が見られる,(3)その各形式に意味・機能上の一貫性が認められる。特に注目されるのは,「体験的過去」と呼ぶことができる過去形がすべての述語に見られることである。また,中田方言の具体的記述を通して,方言研究における述語の文法的カテゴリーの総合的記述の方法論を提示した。
- 2005-01-01
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