The Winter's Taleにおける虚構と真実
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概要
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The Winter's TaleはPericles, The Tempestと共にロマンス劇という範疇に入れられている劇であり,そのロマンス劇の特徴としては真実性に欠けるということが,共通点として挙げられよう。しかしながらThe Winter's Taleにはおよそ全編にわたって,現実的にはまず起こりそうにない出来事が満ち溢れており,さらに「時」をコーラス役として登場させる作劇手法を用いるなど,あまりにも芝居じみすぎた感はぬぐえず,John Drydenなどはこの作品を荒唐無稽だとしている。けれども作者自身が,この作品中に「まるで昔話のよう」('like an old tale')という言葉を繰り返し使っているように,作品そのものをあくまでも虚構として呈示しようとしていることを強く意識していると考えれば,言い換えれば劇そのものを全くの虚構とすることによって何かを問いかけようと試みていると考えるとき,この作品の意味が明らかになるのではないかと考えるのである。
- 近畿大学工業高等専門学校の論文
- 1995-09-01