調査による事例的研究の試み : 「邪悪な大人」を表現し続けた大学生女性の事例
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概要
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本稿では、心理臨床と近似の枠組みにおいて縦断的調査研究を行い、クライエントが内的世界を表現する意味探求の手がかりを得ることを目的とした。方法としては、Shneidman(1947)が開発したMake A Picture Story(MAPS人格投影法)検査用具のミニチュアの舞台と人形による即興劇(以下、「ドラマ」と記す)を用いた、「ドラマ」のプロセスや振り返りに焦点を当てた調査による事例的研究をAさん(大学生女性)を対象に行い、心理臨床学的考察を試みた。結論として、クライエントの表現には彼/彼女の思いが反映されること、表現しようという焦りが強いと自由な表現からかけ離れてしまうこと、そのような気負いや焦りから自由になった時、クライエントの内的世界が活性化され、日常と非日常との間の柔軟な移行が可能となることが示唆された。また、このように自由に表現を行うためには、その場で生じた感情や思いを表現する即興性の豊かさが重要であることが推察された。
- 沖縄国際大学の論文
- 2005-09-01