パーソナリティ傾向と表現体験との関連性についての研究 : 大学生のグループ・フィンガーペインティングを通して
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概要
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内的世界の表現が心理臨床学的に重要な意味をもつことは従来から述べられてきたが、ベースとなっているパーソナリティ傾向によって、表現を通して得られる体験は異なると考えられる。そこで本研究では、個々人のパーソナリティ傾向に着目し、内的世界を表現する際の表現体験との関連性について検討を行うことにした。方法としては大学生を対象にグループ・フィンガーペインティングを実施し、質問紙やディスカッションによって、彼/彼女らが表現を通して得た体験(表現体験)について調べた。加えて、パーソナリティ傾向をはかるため「Big Five尺度」(和田、1996)の評定も依頼した。これらの手続きを通して、パーソナリティ傾向と表現体験との関連性について数量的研究を行うとともに、描かれた作品や個々人の内省に着目し、事例的研究を行った。その結果、他者や環境に関心が向かう「外向性」、遊戯性や視野の広さといった「開放性」、几帳面さや計画性である「誠実性」などのパーソナリティ傾向は、没頭して表現を行うことや自ずとわき起こるイメージや感情を表現することと関連性をもつことが示唆された。また、境界や枠を適度に保つことも表現を行う上で重要であることも推察された。
- 沖縄国際大学の論文
- 2005-03-31