浅海域における堆積赤土砂の除去に関する基本的な検討
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概要
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沖縄県では農地開発、各種建設事業、米軍基地などからの赤土砂の流出による水質汚染が重要な環境問題となっているが、その対策としては次の3種類がある。1.発生源対策、2.流下過程(河川など)における対策、3.流出堆積した赤土砂の対策。これらの中で、発生源対策としては、マルチング(敷き草)、カバークロップ、沈砂池、モグラ暗渠、排水路の整備、山腹工、排水処理プラントなどの対策が講じられている。また、流下過程における対策としては、砂防ダム(治山ダム)の設置、ふとん籠による濾過などが実施されている。しかしながら、河口域や海域に流出堆積した赤土砂については、特に除去などの対策は講じられておらず、台風などによる荒天時に自然に沖合に拡散除去されるのを待っている状況である。本研究では流出して浅海域に堆積した赤土砂の沖合への移動を促進する方法について検討を行った。検討手法1.赤土砂の堆積している浅海域に潮流変化を起こさせる障害物を配置してその効果による潮流変化を確認した。2.潮流の変化は数値シミュレーションにより計算した。モデル海域として金武湾を選定して検討を行った結果、金武湾北西部で石川川からの赤土砂流入がみられる地点の沖合においては、流速が2cm/s以下であり、石川川河口部の近傍では数mm/sであることが分かった。また、障害物を配置することにより、流向変化と流速変化を起こす事が可能で、今回のモデル計算の条件では流速が30%程度変化することが確認された。