移動動詞fallの多義構造について
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概要
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語に対するひとつの考え方として,ひとつの形式に複数の意義が対応するという見方-多義性(polysemy)がある。語にはたいてい複数の意義があり,それらが有機的に結びつくと捉える見方である。多義性に関しては,近年,言語学のあらゆる領域で盛んに議論されているが(cf. Brugman 1981, Lindner 1981, 1982, Lakoff 1987, Rudzka-Ostyn 1989, 1995, Iwata 1998, Fillmore and Atkins 2000, Tyler and Evans 2001, Taylor 2002, 2003 etc.),その成果も方法論も今後さらに批判的に発展しそうな状況にある。本稿では,認知言語学の多義性に関する知見を生かし,移動動詞fallの共時的意味ネットワーク構造を提案する。方法論的には,瀬戸(1986, 1995b, 1997a, b, C), Seto (1999, 2003)を援用することで,各意義を大きくメタファー・メトニミー・シネクドキの三分法で関係づけ,語の全体像が明確になるような体系的記述を行う。
- 2006-03-10