量的緩和政策と日銀の独立性
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概要
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中央銀行は,経済システムの中で唯一制度的に,償還の義務のない債務(銀行券)を発行できる経済主体である。したがって,経済が深刻な不況に陥ると,コストのかからないこの機能に頼りがちになり,一層の金融緩和を求めようとする圧力が強まる。この圧力は世間の圧力もあるが,政府の圧力もある。さらに,日本経済の低迷で悪い影響を被る外国からの圧力もある。しかし,これは限度を超えれば,一種のモラルハザードになりかねない。それ故,中央銀行の政策決定では,中央銀行の節度や独立性が極めて重要になる。現在の量的緩和政策の評価では,量的緩和政策は効果があったか否かがもっとも重要な問題であるが,それとともに,中央銀行の独立性(あるべき姿)の問題も極めて重要である.本稿では,この2点に焦点をあて,量的緩和の限界,バランスシートの悪化,中央銀行の独立性の問題を考察する。
- 2006-03-30