イングランドにおける健康の不平等に関する取り組み : アチソン・レポート以降の「健康の不平等」への取り組み

概要

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イングランドにおいては、医療への公平なアクセスや利用を保障するNHSが創設された後も、社会階層間でのその不公平が問題視されてきた。また、疾病や健康の社会階層間、地域間での格差が社会疫学的調査によって繰り返し明らかにされ、重要な政策課題として認識されるようになった。ブレア新労働党政権は、アチソン報告以降、健康の不平等を縮小する取り組みを行ってきている。それは、WHOヨーロッパ事務局が展開してきた健康都市プロジェクトに棹さすものでもあるが、社会階層、地域、年齢・世代間の健康の格差を是正するために、保健・医療分野を越え、健康の社会経済的決定因子の全般にわたって政策対応しようとしている。そのための資源配分と政策実施枠組みを構築している。そこでは、ナショナルーリージョナルーローカルの三層的枠組みと分権化、公-協-私のパートナーシップによるガヴァナンスが重視されるとともに、個人・家族・コミュニティの健康行動を含む、健康管理能力の発達ということも重要な政策テーマとなっているように思われる。
日本医療経済学会の論文
2006-09-01