アスベスト公害に関する一考察 : 企業の環境マネジメントの視点から
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概要
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アスベスト公害が最近になって露呈しつつある。アスベスト公害は、国の政策のみならず、企業の社会的責任から企業の取り組みにも問題があると思われる。アスベスト健康被害にみられる企業の取り組みは、日本経済の高度成長、安定成長、グローバル化時代における環境マネジメントの成熟過程を反映している。すなわち、高度成長時代は、オープンシステムの自然無限観に立脚したマネジメントが支配的で、法令順守(コンプライアンス)重視と防衛的リスクマネジメントに特徴が見られた。安定成長時代は、クローズシステムの自然有限観に立脚した環境リスクのマネジメントの萌芽が見られたが、エンド・オブ・パイプのマネジメントが支配的であった。そして、グローバル化時代の現在では、持続可能な経営をめざす情報開示とプロアクティブなリスクマネジメントが生まれつつある。アスベスト公害は、上述の環境マネジメントの未成熟による企業の社会的責任の欠如が要因の一つである。今後、同様な過失をアスベスト以外で防止するためにも、企業の社会的責任を果たすための企業行動規範を確立してゆかねばならない。
- 2006-03-25