御料地形成過程の一断章 : 大木真備の群馬県巡回と復命書
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概要
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戦前期の皇室財産(御料地)は、憲法制定・議会開設を前にした明治22年前後に編入された。この概要は『帝室林野局五十年史』などでも知れるが、編入にあたっての巡回(現地調査)、復命の内容など、その具体的実態は未解明のままであった。そこで、本稿では、宮内庁が利用制限を解いた『地籍録』に基づいて、群馬県の場合の解明に取り組むこととした。群馬県へは大木真備が派遣された。巡回に当たっては、県側に資料の提出を求め、27の対象箇所を決めて出発した。しかし、「巡回日誌」などは不明なので、これを埋める資料として、肥田長官宛の書簡2通を活用して行程やそこでの問題点を把握した。そして、大木の「復命書」によって、これまで「将来有益なる土地と然らざる土地とを区分し」たと『明治天皇紀』に書かれていた内容の具体的把握をおこない、これに基づいて選定基準をまとめ、最後に、この根拠には楫取素彦の「意見書」があったことを述べてまとめとした。
- 2005-10-31