柔軟防水剤の性能に関する研究(第3報) : 防水加工布の防皺性の変化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ジルコニュウム系一浴柔軟防水加工による防しわ性の変化を,木綿・テトロン・絹・レーヨンを対象にJIS・L1005の方法に準拠して検討した結果,その顕著なものを要約する。(1)しわの回復状態はいずれの繊維も除重直後から5minの間でしわ角の回復が急であり,5minと10minの間では緩慢に回復し20minと40minの間では,しわ角は安定して変化は殆んど見られない。JISによるしわの測定方法は除重後5min経過の時の開角度を測定するようになっているが,除重後10minまでは開角度の動きがあり安定を欠くので,除重後10minの時の開角度測定としたほうがデーターのバラツキが少ないと思う。レーヨンの湿潤試料では除重直後の開角度が大きく40minにかけて他の繊維と皮対に回復曲線が下降し,しわは回復しないで反対に深くなっている。これは湿潤による繊維の膨潤が大きくて繊維の直径が増加し折り曲げに対する反発力のため,一時的にしわ角が大きく開き時間の経過とともに放湿しながらしわ角が縮少し,安定するものと考える。(2)防水液濃度が増大すると一般的にしわの回復が遅れる傾向を見た。すなわち0.5%濃度では除重後10minでしわ角が安定するが,5%濃度では除重後20minで安定する。(3)キュアリングによるしわの回復状態は,自然乾燥の場合と殆んど類似の形を示したが,一般に高濃度の場合はキュアリングの影響が大きくて,しわになり易くなっている。特に絹とレーヨンへの影響が目立っている。(4)造りしわ性と永久じわに関しては,木綿と絹の乾燥試料では未加工の原布よりしわになり難くなっているが絹の湿潤状態での造りしわ性の増大は大きく,原布の50〜60%の防皺度低下を示した。一般に造りしわ性の大きいものは永久じわも大きくて類似した挙動を示したが,テトロンは造りしわ性の変化は少なく,原布より僅かにしわを生じ易くなる程度であるがしわの回復が悪く,永久じわとして残る割合が大きい。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1967-03-01
著者
関連論文
- 布に発生する微生物に関する研究(第1報) : 衛生加工布の抗菌効果について
- 柔軟防水剤の性能に関する研究(第4報) : 紫外線の影響について
- 柔軟防水剤の性能に関する研究(第3報) : 防水加工布の防皺性の変化について
- 柔軟防水剤の性能に関する研究-2-防水加工布の汚染性と洗浄性について