茄バーテイシリウム萎凋病(半身萎凋病)の研究
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概要
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1.本論文にはVerticillium albo-atrum R. et B.菌による茄半身萎凋病について研究した結果を記述した.2.本病は自然状態では,下葉から漸次植物体上部に至る半身萎凋症状を呈するが,接種実験の結果では成植物,幼苗共に下葉から全身的萎凋の症状を呈した.3.本病々原菌々糸発育に対する最適温度は25℃前後又はそれより稍々高く,発育の限界高温度は35℃より高く,限界低温度は10℃より低いところに在ると推定せられる.4.本病々原菌胞子形成の最適温度も25℃前後であり,その適温の範囲は菌糸発育よりも狭い.5.本病々原菌分生胞子の発芽に対する最適温度は25℃より高く30℃より低いところに在つて,発芽の限界高温度は35℃より高く,限界低温度は10℃前後であると推定せられる.6.本病は近畿地方では,9月中下旬の平均気温20〜25℃の頃から発生し,平均気温25℃以上では発生を見ない.7.本病々原菌の寄主体侵入は主に根部組織の傷痍部から行われ,菌の代謝産物中の毒性物質は病原菌の侵入を間接的に助けるものと思われる.8.病原菌陳久培養濾液の毒性は,15日間培養ではCZAPEK-DOX液体培地の窒素源が硝酸態よりアンモニヤ態の方が著しく,又pH6〜7で25〜30日間培養のものが最も著しかつた.原液の10倍稀釈液にも毒性が認められる.毒性物質は耐熱性で,酸,アルカリによつて影響を受けない.9.本病々原菌々糸の発育に対する最適pHは6〜7である.菌糸発育の限界酸度はpH3.6〜4.0で,限界塩基度はpH9.0より塩基性である.10.接種実験の結果,本病々原菌は,茄以外にトマト,メロン,キウリ,セロリー,菜豆,菊にも病原性を有する事明らかである.
- 1957-01-25
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